事前収録のスタジオにはたくさんのファンが朝早くから二人を応援するために集まって いた。 「みんな寒いのに早くから来てくれて、ありがとう!」  ユノがファンに向かって手を振る。  それを見て、チャンミンも同じように手を振った。  キャー ユノオッパ〜 チャンミンオッパ〜〜  狂ったように手を振り返す、カシオペア達。 「嫌な事は忘れて頑張ろう…」チャンミンは気合を入れ直して本番に臨んだ。 スイッチの入った二人のステージは最高の出来で、息もピッタリだった。 「お疲れ様でした〜」スタッフの終了の合図と共に皆が解散する。 「お疲れ様でした」ユノは率先していろんなスタッフやら、共演者達に挨拶して回った。 チャンミンも同じようについてまわり挨拶したが、テミンのところにはユノだけが行った。 「テミンお疲れ様!MC良かったよ!」ユノはテミンの肩をポンポンと叩いて去ろうとし たが、テミンは駆け寄り、ユノに耳打ちした。 「待ってますから!ユノヒョンが誘ってくれるのずっと待ってますから」テミンはそう言っ て走っていった。 「…まいったなぁ〜…」ユノはほとほと困ったという顔でつぶやいた。  そんな様子を見たくないと思い、ユノから離れたにも関わらず 「テミンさんはほんとにユノさんの事が好きですね〜」スタッフがそう囁き、チャンミン はまた嫌な気分がぶり返した。  二人の控え室で帰り支度をしながら、チャンミンが 「ヒョン、今日はほんとにホジュンヒョンと行くんだよね?」 「そうだよ…チャンミナ…何で?」ユノはそう答えてすぐに、ハッと気づき周りに誰もい ないことを確認して、鏡に向かって座るチャンミンに駆け寄り後ろから抱きしめた。 「チャンミニ、テミンとは行かないよ…気にするなよ。今日はホジュンヒョンと飯食って すぐに帰るから。な?機嫌なおしてくれよ」強く抱きしめ、首元に顔をうずめた。 「…わかったよヒョン…今日は帰ってくるんだよね?」寂しげにそう言うチャンミンがと ても愛しく、ユノはチャンミンの首筋にキスをした。 「ホジュンヒョンが相談あるっていうから、行かなきゃいけないけど…ごめんよ…なるべ くすぐ帰るから。な?チャンミナ…許してくれよ〜」ギューっと強く抱きしめた。 「…仕方ないよね…ヒョンの大事な先輩だもんね…」チャンミンは口ではそう言いながら {ずっとそばにいて欲しい、僕だけを見てて欲しい、僕のことだけ考えてて欲しい、そん なわがまま言えるわけないよね…}辛い気持ちを胸の奥に閉じ込め、愛おしげにユノが抱 きしめる腕に触れ、頬を寄せた。 「チャンミナ…」ユノはたまらず、チャンミンの顔をこちらに向かせて口づけた。 いつものチャンミンなら、「こんなとこで、何するんだよ!」と言って怒る所だが今日は 余程寂しかったのか、素直にユノを受け入れて甘えるように何度も口づけた。 「つづきは帰ってから… だから待っててくれよ、チャンドラ」ユノはチャンミンの髪を 撫でながら、そう言いおでこをコツンとあてた。 「なぁーユノ…オレもうダメだよ… 諦めて田舎に帰ろうかと思うんだ…」 ホジュンは落ち込んだ様子で酒をあびるように飲んだ。 「ヒョン!そんな事言わないで、もう少し頑張ってくださいよ」 ユノは落ち込むホジュンを慰めようと、必死で楽しい話をするがホジュンはユノの話には 耳を貸さず、ただひたすら飲み続けた。 初めのうちは時計を気にしていたユノだったが、あまりのホジュンの落ち込みにすっかり 時間を忘れ、気づいた時にはすでに明け方だった。 「ヒョン!すみません!僕帰らなきゃ!また生放送あるんですよ!タクシーで送りますか ら」そう言って、酔いつぶれたホジュンを抱え起こした。 「すまん、ユノ… すまない… 」泣きそうな声でホジュンが言い 「大丈夫ですよ。ヒョンきっといつかうまくいきますよ!きっと大丈夫!ヒョンなら成功 しますよ!」ユノは何度も何度もそう言い、ホジュンを励ました。  参ったなーチャンミナ怒ってるだろうなー連絡も出来なかったし…あんなに寂しそうな チャンミナ見たの初めてだったのに…早く帰って抱きしめてやりたかったのにな…  静かに玄関を開け、恐る恐る部屋に入るとソファーで眠り込んだチャンミンがいた。 「チャンミナ…ここで待っててくれたんだな…ごめんよ…ほんとにごめん…」 ユノは膝まづいてチャンミンの頬にキスをした。 「…ん?…ユノヒョン?帰ってきたの?」寝ぼけているのか怒りもせずに、甘えた様子で ユノに向かって寝転んだまま両手を広げて差し出した。 「チャンドラ… ごめんよ。すぐに帰れなくて…」ユノはチャンミンを起き上がらせて抱 きしめた。 「ユノヒョン今日は帰ってこないんだな…って悲しかったけど、帰ってきてくれたから いいよ…」チャンミンはユノを強く抱きしめ返した。 「チャンドラ…」唇を重ね、舌でチャンミンの口をこじ開ける。 「ごめんよ…早く帰ってこうしておまえを抱いてゆっくり眠りたかったのに…ほんとにご めん」  チャンミンはずっとユノの帰りを待っていた。いつまでたっても帰らないユノに対して 腹が立って、絶対に許さない!今度こそ何て言ったって許すもんか!! すぐに帰るって言ったくせに、つづきは帰ってからな、待っててくれよ。そんな適当な事 言って、僕を騙したんだ。絶対に許さないからな!!!  そう思ってたはずなのに… そう決めたはずだったのに… ユノヒョンが帰ってきた音 で心臓が跳ね上がって、部屋に入ってくる足音にドキドキして、僕のそばに膝まづいて僕 にキスをして…  もうそれだけで、怒ってたこと全部忘れるなんて… なんでこんなに ダメな人間になっちゃったんだろ…何でこんなに…何でこんなにユノヒョンが好きなんだ ろ?抱きしめられるだけで、こんなに幸せになれて…ヒョンが僕を抱きたいって言ってく れる度嬉しくて、こんなにユノヒョンが愛しいなんて… きっとユノヒョンには僕のこんな気持ちわからないんだろうな… みんなに優しいユノヒョンには、僕のヒョンを独占したい気持ちなんてわかるはずないん だよ。